一般皮膚科
当院の一般皮膚科治療について
一般皮膚科は、院長及び副院長が担当いたします。2人とも、日本皮膚科学会認定の皮膚科専門医です。
湿疹がある、手あれが治らない、アトピー性皮膚炎を改善したい、くちびるにヘルペスができた、水虫を治したい、顔のニキビが気になる、ヤケドをした、イボができた、などの日常生活で出てくる様々なお悩みについて扱っています。
当院で扱う主な疾患
初期診療(プライマリー・ケア)の結果、高度な医療機器での検査や治療、入院加療などが必要と医師が判断すれば、その病気に適した総合病院や専門の医療機関などを紹介させて頂きます。
当院で行える検査
- 顕微鏡検査
- 水虫やタムシの原因となる白癬菌やカンジダ、癜風など真菌(カビ)感染症の検査に用います。
病変部の皮剥けした箇所や水ぶくれの蓋の部分から皮膚をピンセットを用いて採取し、採取した皮膚を試薬で溶解して検査を行います。他にも爪や毛などに真菌感染やダニによる感染(疥癬)、アタマジラミを疑う場合にも同様の検査を行います。
皮膚ないし爪を試薬で処理するのに5分ほどお時間を頂きます。 - 拡大鏡検査(ダーモスコピー)
- 拡大鏡(ダーモスコピー)を用いた検査法です。
ダーモスコピーは皮膚表面で起こる光の乱反射を抑えて表面を観察できるため、皮膚の少し深い部分まで観察することができます。肉眼や虫眼鏡でみるよりも詳しく観察することができるため、主にホクロと悪性のできものの鑑別や、加齢性いぼ、血管病変の観察にも適しています。またウイルス性のいぼとたこや魚の目との鑑別にもしばしば用います。 - 皮膚エコー検査
- 当院では皮膚のできものにおける診療にエコー検査(超音波診断装置)を積極的に用いています。
皮下のできものの診断や深さの判定、血流の評価判定に用いるだけでなく、皮下の異物の評価や炎症の評価(脂肪織炎や関節周囲の炎症)を行うことができます。
エコーの所見によっては詳しい画像評価(CTやMRI)が必要になる場合もあり、その場合には熊本総合病院や熊本労災病院放射線科に依頼して画像の撮影や読影をお願いしています。
当院で導入している皮膚エコーは22MHzと非常に浅い層までクリアに観察することができるGE社のエコーを用いています。
ニキビ治療
ニキビは毛穴の詰まりから始まり、ニキビ菌が増えることで赤く腫れてしまいます。このため、ニキビの治療の基本は、毛穴の詰まりをとることとニキビ菌の増殖を抑えること、の2つが非常に重要です。
ニキビ治療は数日では難しく、目に見えて効果が出てくるまでに少なくとも2週間程度はかかります。日々の治療を続けることで少しずつニキビが出来にくい肌を目指します。
ニキビは“思春期特有の病気”というイメージが強いと思いがちですが、成人以降に発症するいわゆる“大人ニキビ”も多くみられます。赤みのあるニキビの状態が長くなると、皮膚の凹みや盛り上がり、赤みが続いた状態になることも多いので、早めの治療が大切です。
ニキビの原因
ニキビの原因は大きく3つに分けられます。
- 毛穴の角質の増殖により、毛穴が閉塞する
- 男性ホルモンの作用により脂腺が増殖し、皮脂の分泌が過剰になる
- アクネ菌が毛穴で増殖し、炎症が起こる
思春期のニキビは男性ホルモンの影響で皮脂の分泌が増えることによるとされています。
また生理前にフェイスラインや顎のニキビが増えるものホルモンバランスの影響であると考えられています。
また成人発症のニキビには、生活習慣(睡眠状況・飲食・化粧品)、ストレス、紫外線などの様々な要因がニキビの増殖因子として知られています。
ニキビの治療
これらの原因から、ニキビの治療は主に毛穴の詰まりの改善・ニキビ菌の増殖による炎症を抑える、といった治療を行います。
保険診療で行うニキビ治療は以下の様なものがあります。
- アダパレン:ディフェリンゲル®(角質の詰まりを改善する)
- 過酸化ベンゾイル:べピオゲル®(角質の詰まりの改善、ニキビ菌による炎症を抑える)
- 抗菌薬:クリンダマイシン(ダラシン®)、ナジフロキサシン(アクアチム)、オゼノキサシン(ゼビアックス)
最近では、これらの薬を初めから併せたものもあります。
- 過酸化ベンゾイル+クリンダマイシン:デュアック配合ゲル®(角質の詰まりの改善・ニキビ菌による炎症を抑える)
- アダパレン+過酸化ベンゾイル:エピデュオゲル®(角質の詰まりの改善・ニキビ菌による炎症を抑える)
これらの塗り薬とともに、抗生剤やビタミン剤の飲み薬も併せて用いていきます。
なお当院ではニキビの症状に応じた漢方薬による治療も積極的に行っていますので、ご相談下さい。
重症にきび治療(保険外診療)
ニキビを保険診療で治療してもなかなか改善がみられない場合には、イソトレチノインによる治療を検討する余地があります。イソトレチノインはアメリカをはじめとした海外では中等症~重症のニキビに対する飲み薬として使用されています。商品名としてアキュテイン・ロアキュタン・イソトロインが知られていますが、当院ではイソトロインを採用しています。
イソトロインはニキビにおける角化異常を改善し、皮脂分泌を抑制することでニキビに対する治療効果がみられます。頬や顎のぼこぼことしたニキビは非常に難治な場合もあり、中には年単位で保険診療を行ってもなかなか改善がみられない方もいます。イソトロインは既存の保険診療で改善が乏しい重症のニキビ、ぼこぼことした強い腫れを伴うニキビに対して効果的です。
具体的な使用方法としては、イソトレチノイン20mg錠を1日1回飲むことから始めます。3~6ヶ月程度内服を続け、一度治療を終了することが通常で、内服終了後も効果が持続することが多いです。再発がみられた場合には患者さんと相談の上内服の再開を検討します。
なおイソトレチノインによる治療は現在我が国では保険適応はないため、自費診療になります。
稀な副作用として、肝機能異常や高脂血症がありますので内服開始時と内服開始1ヶ月後の時点で採血を行います。
また内服中は顔やくちびる、手足の乾燥が生じることがありますので、しっかりと保湿を行ってください。
マウスを用いた研究において胎児への催奇形性の報告がみられたことから、イソトロイン内服中と内服終了後1ヶ月間はパートナーを含む妊娠は避けて下さい。
巻き爪治療
巻き爪は足の指にある爪の両端の先端が大きく内側(いわゆる皮膚側)に彎曲した状態をいいます。いずれの指にも起こり得ますが、特に負荷のかかる親指の爪が巻くことが多いです。巻き爪が進行すると、曲がった爪が皮膚に食い込み、徐々に痛みを引き起こします(陥入爪)。
深爪などを契機に発症することでも知られています。爪が皮膚に食い込むと肉芽と呼ばれる赤い盛り上がりができることもあります。触るととても痛いことから、日常生活に支障を来すことも多くみられます。
当院での巻き爪・陥入爪の治療
当院では、主に以下の様な治療を行っています。
- テーピング: テープを用いて、食いこんでいる爪を物理的に爪から遠ざけるように引っ張ります。軽症の巻き爪の治療で行います。ご自宅で継続的に行って頂く必要があります。
- 肉芽に対する液体窒素冷凍凝固治療: 出来てしまった肉芽を液体窒素を用いて凍結させ、治療する方法です。1回で改善することは少ないため、複数回施術を行う必要があります。なお、この間化膿した肉芽に対して抗生剤の飲み薬や塗り薬、テーピングなどを併用していきます。
- 楔形切除: 爪が皮膚に食いこんでいる先端(爪棘)を確認して、刺入した爪を斜め方向にカットして食いこんだ爪を除去します。爪の刺入点を除去するため、施術直後より痛みが軽減します。
- 手術: これらの治療で改善しない肉芽を有する陥入爪には手術を選択します。爪の根元に麻酔を行い、食いこんでいる爪を根元から切除します。その際肉芽も一緒に電気メスやハサミを用いて除去します。術後から痛みが軽減します。術後当日の入浴は避けて頂きますが、翌日からはシャワーで患部を洗って、塗り薬を患部に塗布して頂きます。傷が塞がるのにおおむね3週間ほどかかり ます。
巻き爪に対するワイヤー治療(保険外診療)
当院では巻き爪に対する弾性ワイヤーを用いた治療を行っています。巻いている爪にドリルで2ヶ所穴を開け、その穴から弾性ワイヤーを通して短くカットし、ワイヤーを爪に固定します。穴を開ける場所は通常の爪切りで切る部分ですので痛みは伴いません。
爪にドリルで穴を開けるため、爪を切りすぎている場合には穴を開けるスペースがないことからこの方法を用いることができません。
また、爪水虫の場合には爪が脆くなっていることから、ドリルで穴を開ける際に爪が割れることがあります。(正常な爪の場合にもワイヤーの弾性力によって爪が割れる可能性があります)
爪が伸びるのに伴い、2~3ヶ月程度でワイヤーを入れ直す必要があります。爪の変形の程度によっては 3~8ヶ月程度時間が必要になることもあります。
なお巻き爪ワイヤー治療は保険診療ではなく、自費診療となります。
ウイルス性イボ
ウイルス性イボの治療の1つに液体窒素冷凍凝固を用います。
液体窒素は-196度まで冷却して液化させた窒素のことです。液体窒素冷凍凝固法とは皮膚のできものにこの液体窒素を当てて凍結と融解を繰り返すことで皮膚のできものを除去していく方法です。
ウイルス性のいぼの他、加齢性のいぼ(脂漏性角化症)、首いぼ(スキンタッグ・アクロコルドン)の治療に用います。
週一回は保険で行うことが可能です。通常これらの疾患では複数回の施術が必要になりますので、1~2週間ごとの通院が必要になります。
液体窒素による治療の注意点として、
- 施術後の痛み
施術直後に行った部位に痛みが出ることがあります。これは皮膚に液体窒素によってやけどの状況を作るためで、通常心配ありません。
稀に施術数日後まで痛みが続くことがあります。こちらも心配ありませんが、ご心配な場合にはご相談下さい。 - 水疱・血疱の形成
施術当日から数日後に水ぶくれ(水疱)や血ぶくれ(血疱)ができることがあります。これらはしっかり皮膚に反応が出た結果であり、通常心配ありません。
当院では処置後このような場合に備えてきずぐすりをお渡ししています。もし水疱や血疱ができた場合には、石鹸などで優しく患部を洗ってからきずぐすりを塗布し、ガーゼや絆創膏で保護して下さい。
しかしあまりにも大きな水疱や血疱になった場合には処置が必要になりますので、時間をおかずに受診して下さい。 - 炎症後色素沈着 施術による炎症が強かった場合に色が残ることがあります。この場合数ヶ月ほどかけてゆっくりと元の皮膚の色に戻りますが、色素を残さないようにするために日焼け止めのケアなどを行う必要があります。
当院では施術する場所に応じて、綿棒やピンセット、スプレーを用いて施術を行います。首いぼなど施術後の炎症後色素沈着が出やすいものに関してはラジオ波メスを用いて施術を行うこともあります。